2014年7月14日月曜日

【平成14年前文③】監査の目的を規定する理由



【問題】 監査それ自体の目的を明確にしないとどのような問題が起こるか説明せよ。また、監査の目的の内容についてどのような点に留意して理解することが必要であるか説明せよ。



↓前文では…


【平成14年前文】 従来、監査基準は監査それ自体の目的を明確にしてこなかったために、監査の役割について種々の理解を与え、これがいわゆる「期待のギャップ」を醸成させてきたことは否めない。また、監査の目的を明確にすることにより、監査基準の枠組みも自ずと決まることになる。このような趣旨から、改訂基準において監査の目的を明らかにすることとした



↓が、その内容については、以下の点に留意して理解することが必要である。


(1) 監査の目的は、経営者の作成した財務諸表に対して監査人が意見を表明することにあり、財務諸表の作成に対する経営者の責任と、当該財務諸表の適正表示に関する意見表明に対する監査人の責任との区別(二重責任の原則)を明示した。
(2) 監査人が表明する意見は、財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を表明したものであることを明確にした。
(3) 改訂基準では、基本的な構成からなる財務諸表に対する監査を前提として、財務諸表が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについて意見を表明するとしているが、監査の対象となる財務諸表の種類、あるいは監査の根拠となる制度や契約事項が異なれば、それに応じて、意見の表明の形式は異なるものとなる。
(4) 適正意見と虚偽の表示との関係について、監査人が財務諸表は適正に表示されているとの意見を表明することには、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないことの合理的な保証を得たとの自らの判断が含まれていることを明確にした。
(5) 合理的な保証を得たとは、監査が対象とする財務諸表の性格的な特徴(例えば、財務諸表の作成には経営者による見積りの要素が多く含まれること)や監査の特性(例えば、試査で行われること)などの条件がある中で、職業的専門家としての監査人が一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って監査を実施して、絶対的ではないが相当程度の心証を得たことを意味する。



↓なお、


監査報告書における適正意見の表明は、財務諸表及び監査報告書の利用者からは、結果的に、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないことについて、合理的な範囲での保証を与えているものと理解されることになる。



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