【平成14年前文】 監査人は、近年の資本市場の国際化、企業の大規模化や取引活動の複雑化、会計処理の技術的進展、会計基準の高度の専門化などに対応するために、職業的専門家としての能力の維持・研鑚に努め、実務経験を積み、これらの能力や知識を監査の実務に活かすことにより、これまで以上 に監査に対する社会の期待に応えることが求められている。
【平成14年前文】 従来、監査基準は監査それ自体の目的を明確にしてこなかったために、監査の役割について種々の理解を与え、これがいわゆる「期待のギャップ」を醸成させてきたことは否めない。また、監査の目的を明確にすることにより、監査基準の枠組みも自ずと決まることになる。このような趣旨から、改訂基準において監査の目的を明らかにすることとした
(1) 監査の目的は、経営者の作成した財務諸表に対して監査人が意見を表明することにあり、財務諸表の作成に対する経営者の責任と、当該財務諸表の適正表示に関する意見表明に対する監査人の責任との区別(二重責任の原則)を明示した。 (2) 監査人が表明する意見は、財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を表明したものであることを明確にした。 (3) 改訂基準では、基本的な構成からなる財務諸表に対する監査を前提として、財務諸表が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについて意見を表明するとしているが、監査の対象となる財務諸表の種類、あるいは監査の根拠となる制度や契約事項が異なれば、それに応じて、意見の表明の形式は異なるものとなる。 (4) 適正意見と虚偽の表示との関係について、監査人が財務諸表は適正に表示されているとの意見を表明することには、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないことの合理的な保証を得たとの自らの判断が含まれていることを明確にした。 (5) 合理的な保証を得たとは、監査が対象とする財務諸表の性格的な特徴(例えば、財務諸表の作成には経営者による見積りの要素が多く含まれること)や監査の特性(例えば、試査で行われること)などの条件がある中で、職業的専門家としての監査人が一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って監査を実施して、絶対的ではないが相当程度の心証を得たことを意味する。
(1) 監査の目的は、経営者の作成した財務諸表に対して監査人が意見を表明することにあり、財務諸表の作成に対する経営者の責任と、当該財務諸表の適正表示に関する意見表明に対する監査人の責任との区別(二重責任の原則)を明示した。
(2) 監査人が表明する意見は、財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を表明したものであることを明確にした。
(3) 改訂基準では、基本的な構成からなる財務諸表に対する監査を前提として、財務諸表が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについて意見を表明するとしているが、監査の対象となる財務諸表の種類、あるいは監査の根拠となる制度や契約事項が異なれば、それに応じて、意見の表明の形式は異なるものとなる。
(4) 適正意見と虚偽の表示との関係について、監査人が財務諸表は適正に表示されているとの意見を表明することには、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないことの合理的な保証を得たとの自らの判断が含まれていることを明確にした。
(5) 合理的な保証を得たとは、監査が対象とする財務諸表の性格的な特徴(例えば、財務諸表の作成には経営者による見積りの要素が多く含まれること)や監査の特性(例えば、試査で行われること)などの条件がある中で、職業的専門家としての監査人が一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って監査を実施して、絶対的ではないが相当程度の心証を得たことを意味する。
監査報告書における適正意見の表明は、財務諸表及び監査報告書の利用者からは、結果的に、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないことについて、合理的な範囲での保証を与えているものと理解されることになる。
【平成14年前文】 レビュ ーは、諸外国では、財務諸表には会計基準に照らして特に修正を要する重要な事項は見当たらなかったことを、限定した手続により消極的に証明する業務であるとされており、財務諸表全体が適正であるかどうかについて意見の表明を行う監査とは、その保証水準を明確に異にするものである。したがって、レビューが監査の一環又は一部であると誤解され、監査と混同されると、却って監査に対する信頼を損ねる虞が生じることから、レビューについては監査基準の対象としていない。
【平成14年前文】監査基準の基本的性格は、昭和25年に我が国に監査基準が設けられた折、「監査基準は、監査実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを帰納要約した原則であつて、職業的監査人は、財務諸表の監査を行うに当り、法令によつて強制されなくとも、常にこれを遵守しなければならない。」と明示されたところであり、今日においても、その性格は変わるものではない。
①【平成14年前文】近年、資本市場や企業活動の国際化、企業が採用する情報技術の高度化、さらに連結財務諸表原則の改訂を初めとする会計基準の改訂や新設など、我が国における公認会計士監査をめぐる環境は大きく変貌している。これらの動きに対応して、監査人個々人のみならず監査事務所などの組織としても監査の実施体制を充実し、さらに監査の質の管理と向上に注意を払う必要性が認識されているところであり、また、これらは国際的な動向とも歩調を合わせることが求められている。 ②【平成14年前文】一方、国民経済的な視点からは、市場経済が一層の進展を見せ、いわゆる投資者の自己責任原則が種々の方面で徹底されるようになるにつれ、企業が公表する財務情報の信頼性の確保について、従来とは比較できないほどに社会の期待と関心が高まっている。当然に、公認会計士監査に対しても、その充実が求められている。
①【平成14年前文】近年、資本市場や企業活動の国際化、企業が採用する情報技術の高度化、さらに連結財務諸表原則の改訂を初めとする会計基準の改訂や新設など、我が国における公認会計士監査をめぐる環境は大きく変貌している。これらの動きに対応して、監査人個々人のみならず監査事務所などの組織としても監査の実施体制を充実し、さらに監査の質の管理と向上に注意を払う必要性が認識されているところであり、また、これらは国際的な動向とも歩調を合わせることが求められている。
②【平成14年前文】一方、国民経済的な視点からは、市場経済が一層の進展を見せ、いわゆる投資者の自己責任原則が種々の方面で徹底されるようになるにつれ、企業が公表する財務情報の信頼性の確保について、従来とは比較できないほどに社会の期待と関心が高まっている。当然に、公認会計士監査に対しても、その充実が求められている。
【平成14年前文】今般の改訂では、単に我が国の公認会計士監査の最大公約数的な実務を基準化するという方針ではなく、将来にわたっての公認会計士監査の方向性を捉え、また、国際的にも遜色のない監査の水準を 達成できるようにするための基準を設定することを目的としている。さらに、公認会計士監査に対する社会の種々の期待に可能な範囲で応えることも改訂基準の意図したところである。
【昭和31年前文】 監査報告書は、監査の結果として、財務諸表に対する監査人の意見を表明する手段であるとともに、監査人が自己の意見に関する責任を正式に認める手段である。従ってその内容を簡潔明瞭に記載して報告するとともに責任の範囲を明確に記載して意見を表明することは、利害関係人ばかりでなく、監査人自身の利益を擁護するためにも重要である。過去の経験に徹するに、監査人は不当に責任を回避するため、あるいは徒らに晦渋な字句を用いて関係者を迷わせ、あるいは必要な記載を省略することが稀ではない。かくして監査人本来の目的を没却し、監査制度の健全な発展を阻害することになろう。それ故、監査報告書の記載要件につき一定の基準を設け、監査人をしてこれを厳重に守らしめなければならない。
【昭和31年前文】 監査を実施するに当り、選択適用される監査手続きは、企業の事情により異なるものであって、一律にこれを規定することは不可能であり、監査人の判断にまつところが大である。しかしながら監査の能力と経験は個々の監査人によって差異があるから、一切をあげて監査人の自由に委ねることは、必ずしも社会的信用をかちうる所以ではない。それと同時に又監査に実施に関して公正妥当な任務の限界を明らかにしなければ、徒らに監査人の責任を過重ならしめる結果ともなる。従って鑑査に対する信頼性を高めるとともに、任務の範囲を限定するために、監査人の判断を規制すべき一定の基準を設け、これを遵守せしめることが必要である。
【昭和31年前文】 監査は、何人にも容易に行いうる簡便なものではなく、相当の専門的能力と実務上の経験とを備えた監査人にして初めて、有効適切にこれを行いうることが可能である。又監査人は何人にも安んじてこれを委せうるものではなく、高度の人格を有し、公正なる判断を下しうる立場にある監査人にして初めて、依頼人は信頼してこれを委任することができるのである。従って、監査人の資格及び条件について基準をもうけることは、監査制度の確立及び維持のために欠くべからざる要件である。
【昭和31年前文】 監査基準は、監査一般基準、監査実施基準及び監査報告基準の三種に区分する。監査一般基準は、監査人の適格性の条件及び監査人が業務上守るべき規範を明らかにする原則であり、監査実施基準は、監査手続の選択適用を規制する原則であり、監査報告基準は、監査報告書の記載要件を規律する原則である。
(公認会計士の使命)第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。(公認会計士の職責)第一条の二 公認会計士は、常に品位を保持し、その知識及び技能の修得に努め、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。